カメラを始めてしばらくすると、「NDフィルター」「PLフィルター」という言葉を耳にする機会が増えます。
しかし、
- 違いがよく分からない
- どちらを先に買えばいいの?
- 本当に必要なの?
と疑問に感じる方も多いでしょう。
この記事では、それぞれの役割や使い方、どんな場面で活躍するのかを初心者の方にも分かりやすく解説します。
NDフィルターとは?
NDフィルターはレンズに入る光の量を減らすフィルターです。
サングラスをイメージすると分かりやすいでしょう。カメラには光が入り過ぎると適正な露出になりません。
NDフィルターは光を減らすことで
- シャッタースピードを遅くする
- 明るい場所でも絞りを開けられる
というメリットがあります。
NDフィルターの効果
NDフィルターを使うと、以下の2つのような「肉眼では見られないドラマチックな表現」が簡単にできるようになります。
- 水の流れや雲の動きを「糸のように滑らかに」写す
- 明るい日中でもシャッタースピードを遅くできるため、滝や渓流、波の動きを美しくブラして表現できます。
- 明るい日中でも「背景をボカしたポートレート」が撮れる
- 通常、晴天時はシャッタースピードが限界に達するためレンズを絞る必要がありますが、NDフィルターで光をカットすれば、明るい屋外でもF値を小さくして(背景を大きくボカして)撮影できます。
次の写真は実際にNDフィルタの効果を表したものです。

普通に撮影
絞り:f5.0
SS:1/60
ISO:100

NDフィルターを使用
絞り:f3.5
SS:1/4
ISO:100
| 撮影シーン | NDフィルターなし | NDフィルターあり |
| 滝の撮影 (昼間の明るい場所) | 水の粒がハッキリ止まって写り、少し硬い印象になる。 | 水の流れがシルク(絹)のように滑らかで、幻想的な表現になる。 |
| 日中のポートレート (背景をボカしたい) | 光が強すぎて白飛びするため、絞りを絞らざるを得ず、背景がボケにくい。 | 光の量を抑えられるため、明るい屋外でも背景が大きくボケた写真が撮れる。 |
| 動く被写体の表現 (人混み、車など) | 動いているものがそのままハッキリ写り込む。 | 残像(モーションブラー)を活かして、非現実的なアート作品のように仕上がる。 |
NDフィルターの濃さ
NDフィルターにはいろいろな濃さがあります。
状況や表現の仕方で濃さを変えます。
| フィルター表記(ND値) | 光の透過率(入る光の量) | 減光段数(シャッタースピードの倍率) | おもな用途・効果 |
| ND2 | 1/2 (50%) | 1段分 (2倍) | ・少しだけ光を抑えたい時 ・明るい場所でのわずかな露出調整 |
| ND4 | 1/4 (25%) | 2段分 (4倍) | ・明るい日中のポートレートで少しボケ味を出したい時 |
| ND8 | 1/8 (12.5%) | 3段分 (8倍) | ・標準的な風景撮影 ・少し流れを意識した川や噴水の撮影 |
| ND16 | 1/16 (6.25%) | 4段分 (16倍) | ・渓流や滝を少し白濁させたい時 ・日中のスナップでの絞り調整 |
| ND32 | 1/32 (約3.1%) | 5段分 (32倍) | ・日中の滝や波を滑らかに表現する時 |
| ND64 | 1/64 (約1.6%) | 6段分 (64倍) | ・白昼の長時間露光の入門 ・雲の流れを少しブラしたい時 |
| ND500 / ND400 | 1/500 (約0.2%) | 約9段分 (約400〜500倍) | ・本格的な長時間露光 ・日中に人の姿を消す、海をミスト状にする |
| ND1000 | 1/1000 (0.1%) | 10段分 (1024倍) | ・日中の完全なスローシャッター ・動かない被写体以外を消す、劇的な表現 |
PLフィルターとは?
PLフィルターは光の反射を取り除くフィルターです。
正式には円偏光フィルター(CPLフィルター)と呼ばれます。
空
フィルタ効果で青空が濃くなります
水面
水面の反射を消し、底まで見えるようになります。
今回は綺麗なものではありませんが、違いはハッキリしたのではないかと思います。
池の中の錦鯉などを撮影するのには必要なのではないでしょうか?
車
ボディや窓の映り込みを軽減
NDとPLの違い
簡単に表にまとめてみました。
| 項目 | NDフィルター (Neutral Density) | PLフィルター (Polarizing Light / 偏光) |
| 主な役割 | 光の量を減らす(サングラスのような効果) | 反射光を取り除く・色彩を鮮やかにする |
| おもな効果 | ・滝や渓流の水を絹のように白濁させる ・日中に絞りを開けて背景をボケさせる ・動画でシャッタースピードを適正に保つ | ・水面やガラスのギラつき(乱反射)を消す ・葉っぱや建物のテカリを抑えて質感を出す ・青空をより濃く、コントラストを上げる |
| 仕組み | フィルター全体のガラス濃度で、色のバランスを変えずに光量だけを均一にカットする。 | 2枚のガラスが重なっており、枠を回すことで特定の方向の光の反射(偏光)だけをカットする。 |
| 操作・調整 | 基本的に装着するだけでOK(可変式NDは濃さの調整が可能)。 | 枠(前枠)を手動でクルクルと回転させ、ファインダーやモニターで効果を確認しながら調整する。 |
| こんなシーンにおすすめ | ・昼間の滝、海、川の長時間露光 ・明るい屋外での大口径レンズの開放撮影 ・明るい日中の動画撮影(シネマティックな表現) | ・水面やショーウィンドウの中を撮影したい時 ・新緑や紅葉、濡れた路面の撮影 ・晴天時の風景写真(空の青さを引き立てたい時) |
どちらを先に買う?
私なら初心者の方にはPLフィルターをおすすめします。
なぜなら、普段の撮影でも効果が分かりやすく様々なシーンで役に立ちます。
被写体の光の反射を抑えるため、自然な色で撮影出来ます。
そのため旅行や紅葉、車、飛行機、風景などすべてに使えます。
NDフィルターは真夏の日差しの強い時や表現を変えて撮影したいときに使うので、少し限られたシーンに効果を発揮します。長時間露光を始めてからでも十分です。
フィルターを選ぶポイント
1. 目的(表現したいこと)から選ぶ
まずは「どんな写真にしたいか」でフィルターの種類と濃さを決めます。
- 「水面やガラスの反射を消したい」「新緑や青空を鮮やかにしたい」
- →【PLフィルター】の一択です。
- 風景写真やスナップの基本として、1枚持っておくと写真の質感が劇的に変わります。
- 「滝や海をシルキーに、滑らかに表現したい」
- 日陰・夕方・曇天: 【ND8 〜 ND64】 が使いやすいです。
- 明るい日中: 【ND500 〜 ND1000(高濃度)】 が必要です。
- 「明るい日中に、レンズの絞りを開けて背景をボケさせたい」
- →【ND4 〜 ND16】(低〜中濃度)で、シャッタースピードが高速になりすぎるのを防ぎます。
- 「動画のシネマティックなブレ感を出したい」
- →【可変NDフィルター(ND2〜ND32やND16〜ND500など)】
- 明るさが刻々と変わる動画撮影では、濃度を無段階で変えられるタイプが圧倒的に便利です。
2. サイズ(径)を選ぶときのポイント
フィルターは、レンズの先端のサイズ(フィルター径)に合わせる必要があります。
- レンズの「〇〇mm」を確認する
- レンズの前面や裏側に「Φ(直径マーク)」と一緒に「Φ67」や「Φ82」といった数字が書かれています。これがフィルターのサイズです。
- 複数のレンズで使い回すコツ(ステップアップリング)
- 例えば「一番大きいレンズ(例:77mm)」用のPLやNDフィルターを買っておき、「ステップアップリング」(小さい径のレンズに取り付けられるようにする安価なアダプター)を使うと、手持ちの小径レンズとも共有できて経済的です。
3. タイプ・グレードを選ぶときのポイント
- 薄枠(ウルトラスリム)タイプを選ぶ
- 広角レンズを使う場合、枠が厚いと写真の四隅が黒く切れてしまう「ケラレ」が起きやすくなります。「薄枠設計」と書かれたものを選ぶと安心です。
- 撥水・防汚コート付きを選ぶ
- 水しぶきが飛ぶ滝の撮影や海辺では、水滴や汚れがつきやすくなります。「撥水・防汚コート」があると、サッと拭き取れるためストレスがありません。
おすすめメーカー
現在でも信頼性が高く、国内でも入手しやすいメーカーとして次のブランドがおすすめです。
- ケンコー(Kenko):価格と品質のバランスが良く、初心者にもおすすめ。
- マルミ(MARUMI):日本メーカー。PLフィルターの評価が高く、コーティング性能も優秀。
- NiSi:風景写真家に人気。NDフィルターの色かぶりが少なく、高品質。
- K&F Concept:コストパフォーマンスに優れ、初めてNDフィルターを試す人にも人気。
- H&Y:角型フィルターやマグネット式システムでも定評がある。
初心者向けおすすめPLフィルター
- MARUMI EXUS Circular PL Mark II
- Kenko ZX C-PL
- NiSi True Color CPL
これらは色かぶりが少なく、解像感も高いため安心して使えます。
初心者向けおすすめNDフィルター
- NiSi True Color ND1000
- MARUMI EXUS ND1000
- Kenko PRO1D Lotus ND64
- K&F Concept Nano-X ND1000
特にNiSi True Color ND1000は、長時間露光で色かぶりが少ないと評価されています。
よくある質問(FAQ)
Q. PLフィルターはいつでも付けっぱなしでいいですか?
必要な場面だけ装着することをおすすめします。光量が少し減るため、暗い場所では外した方が撮影しやすい場合があります。
Q. NDフィルターは夜でも必要?
通常は不要ですが、夜景で車のライトを長く流したい場合などには役立ちます。
Q. PLとNDは一緒に使える?
はい、重ねて使用できます。ただし、ケラレ(画面四隅が暗くなる現象)が発生する場合があるため、広角レンズでは注意が必要です。
まとめ
NDフィルターとPLフィルターは、どちらも写真表現の幅を大きく広げてくれる便利なアイテムです。
- NDフィルターは「光の量を減らし、長時間露光を可能にするフィルター」
- PLフィルターは「反射を抑え、色彩や透明感を引き出すフィルター」
初心者の方には、まず日常の風景や旅行でも効果を実感しやすいPLフィルターがおすすめです。長時間露光に挑戦したくなったら、ND64やND1000を追加すると、滝や海、雲の流れなど、ワンランク上の写真表現を楽しめます。
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。














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